今年はじめて教育実習生を担当することになりました。
指導案って、何を書けばいいかわからないですよね。
自分も、実習で初めて指導案を書いたときは、大学で指導されるわけでもなく、見よう見まねで書いた記憶があります。
先日、ネットを見ていたら「指導案の子どもの実態、教材観、指導観は要らない。A4一枚でまとめあげるべき。」という方も見受けられました。
指導案は少なくて済むのか。
どれだけの分量だったら適切か。
今日は指導案の書き方について考えてみましょう。
1 指導案の構成
指導案は、自分が授業を公開する際に作る先生が多いと思います。
一般的な指導案の章だては次のような感じではないでしょうか。
- 単元名
- 単元目標
- 単元について(子ども実態・教材観・指導観)
- 単元構想
- 本時の指導(本時の目標・本時の展開・評価)
大体これだけでもA4 3枚~4枚の文量になります。
学年部で話し合い、上司からも指導が入り、何度も書き直しをすることがあります。(自分もそうでした)
直すのはとても労力がかかります。
直せば直すほど、自分はどんな授業がやりたかったのかわからなくなります。
そして授業するときには、自分が考えた部分は全然残っていない…なんてこともありました。
これだけ労力がかかるから、本時の指導が書けていればいいという声も耳にします。
確かに自分もそうだなと思うときがありました。
どこまでが必要でどこまでが不要なのでしょうか。
指導案のそれぞれの章で書くことを整理した上でもう一度考えてみましょう。
2 指導案の章だての内容項目
もう一度確認ですが、指導案の基本的な章だては以下の通りです。
- 単元名
- 単元目標
- 単元について(子ども実態・教材観・指導観)
- 単元構想
- 本時の指導(本時の目標・本時の展開・評価)
それぞれの章で書くべき内容を整理して、まとめてみましょう。
1.単元名
ついつい、教科書のタイトルと同じ単元名をつけがちです。
それだと「何を勉強するか」はわかっても、「どんな子どもの姿を引き出したいか」「授業者はどんな思いをもってしたいか」がわかりません。
なので主題で、「自分のやりたい授業・引き出したい生徒の姿」がわかるように単元名を書くことにしています。
副題で、「第○学年 -分野-」を書くようにしています。
例:僕のテストの点数はよいのかな?悪いのかな?
ー第1学年「資料の活用」ー
2.単元目標
本単元で、生徒に身に付けさせたい力を書きます。
一般的には、
- 「数学的見方や考え方」
- 「知識・技能」
- 「主体的に学ぶ態度」
の3観点で書いていきます。
実践単元において、
- どんな数学的見方や考え方ができるようになっているのか
- どんな知識や技能が身に付いていればよいのか
- 生徒がどんな姿で数学的活動に取り組んでいればよいのか
を記述します。
2.単元について(子どもの実態・教材観・指導観)
(1)子どもの実態
子どもの実態(児童観・生徒観)では、単元を進めていく前提としての子どもの実態を分析的に書きます。
子どもを具体的にとらえていないと、子どもにあったよい授業は作れません。
授業を作る上でとても大切な部分になります。
特に私が気を付けているのは、子どものよい面を書くことです。
苦手な部分を埋めるというより、よい面を伸ばすなかで、苦手な部分も引っ張りあげるというイメージです。
よい面を活かした授業展開なので、子どももやる気になります。
どうしても人間ですので、苦手を克服するにはエネルギーが要ります。
よい面を活かして、他の面のレベルアップを考えていきます。
(2)教材観
ここでは、子どもにとっての単元や教材の価値を書きます。
学習内容の関連性や系統性、子どもの陥りやすいつまづきポイント、重要な学習内容などの観点で書いていきます。
特に数学は系統的な学問です。
関連した学習で、以前の学年ではどんな学習をして、実践単元ではどんな新規事項を学ぶかを書くことでより具体的な指導観を書くことができます。
(3)指導観
ここでは単元全体と、本時の指導を具体的な手だてに基づいて書いていきます。
「子どもの実態」「教材観」を受けて単元構想の意図やこの単元の進め方などを記述します。
どんな場面で、子どもの問題が発生するかなども記述しておくと、より分かりやすい指導案になります。
実践後の検証もしやすくなります。
3.単元構想
1.単元目標、2.単元についてで書いたことを、実際に単元に落とし込んで、どんな授業を構想していくかを書いていきます。
左側に学習活動、右側に教師の支援を書くことが多いと思います。
左ではどんな学習活動をするのか具体的に書き、生徒の反応をまとめていきます。
右側の教師支援の部分では、1.単元目標を達成するために、どんな支援をしていくのか。
さらには、2.単元について、で書いた子どものつまづきを、どう支援するのかを具体的に書いていきます。
4.本時の指導
ここでは、
- 本時の目標
- 展開
- 評価
を書いていきます。
公開する授業の具体的な流れになってきます。
特に展開の部分では、学習活動として
- 「どんな発問をするのか」
- 「発問に対して子どもがどんな反応をするか」
- 「次にどんな発問をするのか」
- 「子どもの反応・活動」
とスパイラルで書いていきます。
本時の最後に
「子どもがどんな振り返りをノートにかくか」
を書くのも一般的ですね。
右側には教師支援を書いていきます。
本時の目標を達成するために、どんな支援をしていくのか。
さらには、2.単元についてで書いた子どものつまづきを、どう支援するのかを具体的に書いていきます。
単元構想の1時間バージョンを書く感じですね。
3 指導案のどこを削ればいいの?
ここまで、一般的な指導案で書くべきことを整理してきました。
整理してみると、単元名から、本時の指導まで、広いところから狭いところに絞って書いていっていることがわかると思います。
これらをA4 1枚に書ききるのは無理だろうと思います。
どこかを削ると、整合性がとれなくなるので、どこもけずることはできないだろうというのが僕の個人的な考えです。
授業は、場当たり的な支援をするのではなく、計画的にするものです。
自分は指導案を読むときに、以下の点を気にして読みます
- 現状の子どもの姿と講じる手だての結び付き
- ねらう子どもの姿と講じる手だての結び付き
- 教材と講じる手だての結び付き
授業は、子どもの姿と講じた手だての組み合わせがどんな化学反応を起こすかを予想して実践する場です。
そこで、狙い通りの子どもの姿が引き出せたら、講じた手だては成功ということになります。
逆にうまくいかなかった場合は、どうすればよかったのか反省材料になります。
そこをしっかり確認するためにも、これぐらいはしっかり書きたいものです。
…そうはいっても、なかなかすべては網羅しきれないですよね。
だからこそ
- 子どもの実態
- 目指す姿
- 講じる手だて
だけはどんな指導案でも、明確にのべられるようにしましょう。
自分は、この3つを普段の授業の反省材料にしています。
そうすれば、どんな授業の結果になっても、次に繋がる価値のある授業になるはずです。
これを繰り返せば、自ずと指導案の書き方もうまくなってきます。
逆にこれを話せないと、事後検討会で議論が明後日の方向にいってしまいます(自分の苦い経験です)
4 まとめ
今日は指導案の書き方とポイントについて書きました。
それぞれの章で書けばよいことを整理したので、きっと書きやすくなったと思います。
そして
- 子どもの実態
- 目指す姿
- 講じる手だて
の3つのポイントだけは常に即答できるようにしたいものです。
これを研究授業で説明することで、授業後の協議会も価値のあるものになってきます。
楽しい授業を作るために、一緒に勉強していきましょう!
スーさんでした
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授業の作り方ではなく、見方で記事を書いています。
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